日記
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
お題小説
30分切れ負け。
どうぞ。
『富士山』
『じゃがりこ』
『金髪』
名探偵、花大路勝利は、富士の雪の山荘にいた。
何を思ったのか冬の富士山に挑んだ彼は、半そで半ズボンという軽装ゆえに凍死寸前であった。
もうすぐあの世からお迎えがくる―――そんな彼を救ったのは山のコテージだった。
北大路勝利はそこで一命をとりとめるも、なんとそこで殺人事件が勃発してしまった!
さすがは北大路勝利!
いつもどおり見事な死神っぷりを炸裂させている彼は、その後連続殺人事件にクラスチェンジした事件を解決するために暗躍をかさねた。
そして、今、北大路勝利は犯人に行き着いたのだった!
彼は容疑者4名、すなわち馬鹿田大樹、馬鹿田芳樹、馬鹿田沙世、そして河馬田美香をラウンジへと集めた。
今宵も、北大路勝利のIQ200が冴え渡る!!
●●●
「やはり、事件をとく鍵は浴槽におちたこの毛髪にあったわけです」
北大路勝利は一本の毛を手に持ちながら言った。
しかし、その毛髪は、日本人のものではなくて……
「見てのとおり、金髪の毛髪です。これを浴槽で発見したとき、私は妙な気分にさせられましたあ。黒の中に金色があると妙な気分になる。ええ、それは間違いなく性欲のかかわる何かでしたが、今はそんなことはどうでもいいです。問題は、なぜ馬鹿田家御用達のコテージに、金髪の毛髪が落ちているのかと、そういうことなんですよ」
北大路勝利は、一昔前の探偵小説にでてきそうな帽子を人差し指であげてから、
「貴方がたのは皆日本人だあ。ハーフですらない。言わずもがな、髪の色は黒です。では、なぜ浴槽に金髪の毛髪が落ちていたのかあ」
「そ、それは探偵さん、さっきも言ったではないですか。それはきっと、私達の息子の馬鹿田隆志の髪の毛だって。息子は金髪に染めていますから」
「それは違いますよ奥さん。ええ、的外れもいいところです。いいですか? 実はこの毛髪……髪の毛ではないんですよ」
「え? 髪の毛じゃない!?」
驚きの声をあげる皆。
北大路勝利は、不敵に言い放った。
「そう、これは髪の毛ではない―――陰毛だあ!!」
ビカカーン、と彼の背後に稲妻がはしった。
「い、陰毛ですか?」
「そのとおりです。そして、これが事件をとく鍵でした。事件現場に残されていたこの髪の毛。第一被害者の馬鹿田刃迦さん殺害現場におちていたこの金髪の陰毛――これをひもとけばすぐに犯人は分かりましたあ」
「探偵さん、そんなにもったいぶらずに、はやく犯人を教えてください。バカ・・・いえ、馬鹿田さんたちを殺した犯人がいると思うと、私は夜も眠れないんです!」
と、ゆういつ馬鹿田ではない河馬田美香が言った。
北大路勝利は、鬼の首でもとったように言った。
「河馬田さん・・・・・犯人は貴方ですよ」
「え? わ、私が!?」
「そうです。貴方、第一被害者の隆志さんとは婚約者で、しかも第一発見者でしたねえ。お風呂に一緒にはいろうとしたとき彼の死体を発見したとか」
「そ、そうですが」
「河馬田さん、貴方、そのとき風呂に一緒にはいっていたんでしょう。だから金髪の陰毛が風呂場に残されることになったあぁ」
「ちょっとまってください」
北大路勝利の言葉をとめたのは馬鹿田大樹だった。
彼は続けた。
「金髪の陰毛って……美香さんはれっきとした日本人ですよ。髪の毛だって黒ですし、そんなありえません」
「旦那さん、あなたの気持ちはよおく分かる。しかし、事実はまげることはできませえんん。何を隠そう、彼女は外国人とのハーフ・・・・・・この黒の髪の毛だって、染めたものにすぎないんですよお!」
ビカカーンと彼の背後で稲妻がはしった。
「な、それは本当かい美香さん」
「だ、だからなんだっていうの! それに、第二の殺人事件のとき私にはアリバイがあるわ! そのときも私が第一発見者だったけれど、そのとき私は凶器をもっていなかった! 被害者は頚動脈を切断されたというのに、そのときの凶器はまだ見つかっていないじゃない!」
豹変したように河馬田は言った。
北大路は、どこからだしたのかいつのまにかタバコを吸い、スウーと煙を吐き出しながら言った。
「じゃがりこですよ」
「じゃ、じゃがりこ?」
「ええ、そうです。河馬田さん、あなた、重度のじゃがりこ中毒だったあ。寝るとき以外、いつもじゃがりこを食べていましたね。最初、私も変わった人間がいるものだなあと思っていただけでした。しかし違ったんですね。貴方は犯行を隠すためだけに、毎日毎日じゃがりこを食べ続けていたんだあ」
「ちょっとまってください。じゃがりこなんかでどうやって人を殺すっていうんです?」
「ふっ、じゃがりこの先端をとがらせれば造作もないことです。あれはかなり固いですからねえ。先端を尖らせれば、人の柔らかい肉など一発ですよ。そしてそのあとは・・・・・
北大路は河馬田美香を指差してから、
「犯行後はそのじゃがりこをムシャムシャと食べてしまえばいいんだ! それで凶器はなくなる! 完全犯罪でしたよ。ええ、なかなか思いつくことじゃあない。貴方のゆういつの失敗は、私がここにいたということだけです。この私、名探偵北大路勝利がね」
その言葉を聞いたとたん、美香は泣き崩れた。
そして、独り言をいうかのように口走った。
「許せなかったのよ! じゃがりこはポテトチップスにおとった下等なお菓子だという彼らの言葉が許せなかった。だからだから・・・・・」
「美香さん。あなたのじゃがりこへの熱意は認めます。しかし、そのじゃがりこで人を殺す・・・・これは商品価値を低めることになりませんかあ。貴方はじゃがりこのためといいながら、ますますポテチの不動の人気を高めただけなじゃないですか」
「そ、そんな・・・・私は、私は・・・・・・」
河馬田は泣き崩れた。
罪の意識に彼女は己の悪行を悔い改めたのだ。
北大路は彼女の肩にそっと手をそえた。
事件は無事解決されたのだった。
迷探偵、北大路勝利の冒険ははじまったばかり。
次はどんな迷事件が彼を待ち受けているのか。
がんばれ北大路勝利!
君の栄光はすぐそこだ!
30分切れ負け。
どうぞ。
『富士山』
『じゃがりこ』
『金髪』
名探偵、花大路勝利は、富士の雪の山荘にいた。
何を思ったのか冬の富士山に挑んだ彼は、半そで半ズボンという軽装ゆえに凍死寸前であった。
もうすぐあの世からお迎えがくる―――そんな彼を救ったのは山のコテージだった。
北大路勝利はそこで一命をとりとめるも、なんとそこで殺人事件が勃発してしまった!
さすがは北大路勝利!
いつもどおり見事な死神っぷりを炸裂させている彼は、その後連続殺人事件にクラスチェンジした事件を解決するために暗躍をかさねた。
そして、今、北大路勝利は犯人に行き着いたのだった!
彼は容疑者4名、すなわち馬鹿田大樹、馬鹿田芳樹、馬鹿田沙世、そして河馬田美香をラウンジへと集めた。
今宵も、北大路勝利のIQ200が冴え渡る!!
●●●
「やはり、事件をとく鍵は浴槽におちたこの毛髪にあったわけです」
北大路勝利は一本の毛を手に持ちながら言った。
しかし、その毛髪は、日本人のものではなくて……
「見てのとおり、金髪の毛髪です。これを浴槽で発見したとき、私は妙な気分にさせられましたあ。黒の中に金色があると妙な気分になる。ええ、それは間違いなく性欲のかかわる何かでしたが、今はそんなことはどうでもいいです。問題は、なぜ馬鹿田家御用達のコテージに、金髪の毛髪が落ちているのかと、そういうことなんですよ」
北大路勝利は、一昔前の探偵小説にでてきそうな帽子を人差し指であげてから、
「貴方がたのは皆日本人だあ。ハーフですらない。言わずもがな、髪の色は黒です。では、なぜ浴槽に金髪の毛髪が落ちていたのかあ」
「そ、それは探偵さん、さっきも言ったではないですか。それはきっと、私達の息子の馬鹿田隆志の髪の毛だって。息子は金髪に染めていますから」
「それは違いますよ奥さん。ええ、的外れもいいところです。いいですか? 実はこの毛髪……髪の毛ではないんですよ」
「え? 髪の毛じゃない!?」
驚きの声をあげる皆。
北大路勝利は、不敵に言い放った。
「そう、これは髪の毛ではない―――陰毛だあ!!」
ビカカーン、と彼の背後に稲妻がはしった。
「い、陰毛ですか?」
「そのとおりです。そして、これが事件をとく鍵でした。事件現場に残されていたこの髪の毛。第一被害者の馬鹿田刃迦さん殺害現場におちていたこの金髪の陰毛――これをひもとけばすぐに犯人は分かりましたあ」
「探偵さん、そんなにもったいぶらずに、はやく犯人を教えてください。バカ・・・いえ、馬鹿田さんたちを殺した犯人がいると思うと、私は夜も眠れないんです!」
と、ゆういつ馬鹿田ではない河馬田美香が言った。
北大路勝利は、鬼の首でもとったように言った。
「河馬田さん・・・・・犯人は貴方ですよ」
「え? わ、私が!?」
「そうです。貴方、第一被害者の隆志さんとは婚約者で、しかも第一発見者でしたねえ。お風呂に一緒にはいろうとしたとき彼の死体を発見したとか」
「そ、そうですが」
「河馬田さん、貴方、そのとき風呂に一緒にはいっていたんでしょう。だから金髪の陰毛が風呂場に残されることになったあぁ」
「ちょっとまってください」
北大路勝利の言葉をとめたのは馬鹿田大樹だった。
彼は続けた。
「金髪の陰毛って……美香さんはれっきとした日本人ですよ。髪の毛だって黒ですし、そんなありえません」
「旦那さん、あなたの気持ちはよおく分かる。しかし、事実はまげることはできませえんん。何を隠そう、彼女は外国人とのハーフ・・・・・・この黒の髪の毛だって、染めたものにすぎないんですよお!」
ビカカーンと彼の背後で稲妻がはしった。
「な、それは本当かい美香さん」
「だ、だからなんだっていうの! それに、第二の殺人事件のとき私にはアリバイがあるわ! そのときも私が第一発見者だったけれど、そのとき私は凶器をもっていなかった! 被害者は頚動脈を切断されたというのに、そのときの凶器はまだ見つかっていないじゃない!」
豹変したように河馬田は言った。
北大路は、どこからだしたのかいつのまにかタバコを吸い、スウーと煙を吐き出しながら言った。
「じゃがりこですよ」
「じゃ、じゃがりこ?」
「ええ、そうです。河馬田さん、あなた、重度のじゃがりこ中毒だったあ。寝るとき以外、いつもじゃがりこを食べていましたね。最初、私も変わった人間がいるものだなあと思っていただけでした。しかし違ったんですね。貴方は犯行を隠すためだけに、毎日毎日じゃがりこを食べ続けていたんだあ」
「ちょっとまってください。じゃがりこなんかでどうやって人を殺すっていうんです?」
「ふっ、じゃがりこの先端をとがらせれば造作もないことです。あれはかなり固いですからねえ。先端を尖らせれば、人の柔らかい肉など一発ですよ。そしてそのあとは・・・・・
北大路は河馬田美香を指差してから、
「犯行後はそのじゃがりこをムシャムシャと食べてしまえばいいんだ! それで凶器はなくなる! 完全犯罪でしたよ。ええ、なかなか思いつくことじゃあない。貴方のゆういつの失敗は、私がここにいたということだけです。この私、名探偵北大路勝利がね」
その言葉を聞いたとたん、美香は泣き崩れた。
そして、独り言をいうかのように口走った。
「許せなかったのよ! じゃがりこはポテトチップスにおとった下等なお菓子だという彼らの言葉が許せなかった。だからだから・・・・・」
「美香さん。あなたのじゃがりこへの熱意は認めます。しかし、そのじゃがりこで人を殺す・・・・これは商品価値を低めることになりませんかあ。貴方はじゃがりこのためといいながら、ますますポテチの不動の人気を高めただけなじゃないですか」
「そ、そんな・・・・私は、私は・・・・・・」
河馬田は泣き崩れた。
罪の意識に彼女は己の悪行を悔い改めたのだ。
北大路は彼女の肩にそっと手をそえた。
事件は無事解決されたのだった。
迷探偵、北大路勝利の冒険ははじまったばかり。
次はどんな迷事件が彼を待ち受けているのか。
がんばれ北大路勝利!
君の栄光はすぐそこだ!
PR
この記事にコメントする